猫の腫瘍について、山田犬猫病院の山田徹先生にお話を伺いました。
猫の腫瘍の専門家、「山田犬猫病院」院長の山田徹先生(以下、山田先生)に、
猫の腫瘍についてお話をお伺いしてきました。
正木:
本日はお忙しい中インタビューにご協力いただきまして、まことにありがとうございます。
早速ですが、先生がお持ちの「日本獣医がん研究所 獣医腫瘍認定Ⅰ種」というのはどのような資格ですか?
山田先生:
今は「日本獣医がん学会」に変更していますが、
簡単に言うと、Ⅰ種とⅡ種があり、Ⅱ種は腫瘍に診療する上で必要な知識があること、
Ⅰ種は腫瘍に診療する上で必要な知識と技量があることが条件になります。
正木:
どの程度の方が認定されているのでしょうか?
山田先生:全国でⅡ種が239名、Ⅰ種が34名(2013年1月現在)です。
正木:
今まで猫の癌を何件くらい診てこられましたか?
山田先生:
麻生大学の腫瘍科で、
現在「日本獣医がん学会」の会長を務める信田先生の指導の下、腫瘍科で経験を積んできました。
その経験を含めると500例程度の診察をしてきています。
猫の癌で多いのは乳癌・皮膚癌・リンパ腫の3つ。
癌の種類によっては若い猫でも発症する。
正木:
その中で特に多い癌の種類を3つ教えてください。
山田先生:
①乳癌、②皮膚癌、③リンパ腫です。
正木:
それらは性別、年齢等に偏りはありますか?
山田先生:
乳癌は高齢の雌猫にみられます。皮膚癌は高齢の猫で、雄雌関係なくみられます。
リンパ腫はFeLVと関係することが多いので、未去勢の若い雄猫で外飼いしている猫に多くみられます。
正木:
家庭で出来る癌のチェック方法があれば教えてください。
山田先生:
乳癌は脇から股まで触診してしこりがあればすぐ病院に行くこと。
しこりの大きさが1センチを超えると治らないと思ったほうがよいです。
米粒大程度までの大きさで見つけることが命運を分けます。
皮膚癌も触診で発見しますが、乳癌より分かり難いので、通常と違うと感じたら病院へ行きましょう。
リンパ腫は4種ワクチンの普及と共に上がっていると感じています。
猫を外に出さない、FeLVワクチンを打たないことを徹底すればかなりの率で減ると考えています。
癌の早期発見は、日頃から猫を触ること。しこりを見つけたらすぐに病院へ!
また、定期検診も重要です。
正木:
家庭で出来る癌の予防方法があれば教えてください。
山田先生:
早期発見に尽きます。
とにかく日頃から触ることです。少しでもしこりを見つけたらすぐ病院にいきましょう。
また、高齢の猫であれば定期的に病院で検診を受けましょう。
拾ったばかりの若い猫であれば、FeLVに感染していないかウィルス検査を行いましょう。
陽性の場合、高齢の猫同様定期健診を行いましょう。
インターフェロンを投与することで陰性に転化した症例もあります。
正木:
ワクチン肉腫について、不活性ワクチンに含まれる、
「アジュバント」が原因ではないかと言われていますが、先生も同じお考えですか?
山田先生:
証明はできませんが、原因の一つではないかと思っています。
他にも、様々な種類のワクチンを同一の箇所に打つことも癌を発生させる原因だと考えています。
現在は、出来るだけ同種のワクチンを肢に注射することが世界のガイドラインになりつつあります。
正木:
今後のご活躍の予定を教えてください。
山田先生:
「日本獣医がん学会」に参加して、腫瘍学のレベルを上げることに貢献したいと考えています。
10年後は現状とはまるで変わっていると予測しています。
飼い主のレベルも上がってくることでしょう。
正木:
先生から飼い主に言いたいことはありますか?
山田先生:
とにかく外に出さないこと。
野良猫に無責任に餌をやらないこと。
もし餌を与えるなら去勢、避妊手術を行うこと。
良識を持った飼い方をしてほしいですね。
正木:本日はお忙しい中お時間を頂きましてありがとうございました。
山田犬猫病院のご案内
どのワクチンを打てばいいのか分からない…。
愛猫が癌にかかったかもしれない!?
プロフェッショナルの診察を受けたい!!
そんな時に「山田犬猫病院」に足を運んではいかがでしょうか?
Webサイト:
アクセス:
大阪府寝屋川市の香里園駅から徒歩5分程度